ばけぴとの分析化学講座

分析化学について解説していきます。

第8-5回.TLC(薄層クロマトグラフィー)について

こんにちは。ばけぴとです。

今回はTLC(薄層クロマトグラフィー)について、解説していきます。

こちらも有機合成では必須の知識と思いますので、ぜひご参考に♪

今回は、TLCの操作方法→TLCでわかることの順に解説していきます!

 

 

 

1.TLCの操作方法

 まず、TLCについて、簡単に説明します。TLCとは薄層クロマトグラフィーの略です。この意味は、「ガラス板等の上に固定相をまぶしてにし、その上でクロマトグラフィを行う」といったものです。やってることはただのクロマトグラフィーですので、あまり深く考えなくて大丈夫です👍

それでは次にTLCの操作方法を見ていきましょう(図1参照)。

 

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図1.TLCの操作方法

 

TLC板を用意する。

TLC板に4cmの間隔を開けるように、鉛筆で線を引きます。後でRf値を求めるときに、この4cmの情報が必要です!

TLC板に鉛筆で引いた下線上に、サンプル溶液をキャピラリー(微細なガラス管)でチャージする。

④展開溶媒(移動相や溶離液と同じ意味だが、TLCの時は特別に展開溶媒という言い方をします)を少し入れたガラス瓶に、TLC板を入れます。

⑤しばらく放置(TLC板が展開溶媒を吸い上げます。展開溶媒がサンプル溶液の位置を超えると、クロマトグラフィーが起こり、分離が始まります。)

TLC板に鉛筆で引いた上線に展開溶媒が到達したら、すぐにTLC板を取り出す。

⑦もし、分離対象物質が見えない場合は、この取り出したTLC板をUV照射や発色剤に漬ける等して、可視化します。(分離対象物質が見えない場合でも、展開溶媒が上線に到達した段階で、TLC板をガラス瓶から取り出してください。)

 

 

2.TLCでわかること

 それでは次に、TLCでわかることを説明していきます(図2参照)。

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図2.TLCでわかること

 

TLCではRf値がわかります。このRf値は展開溶媒に対する物質の移動度を示し、0~1の数値を取ります。計算方法は「Rf値 = 物質Xの移動距離(cm) ÷ 展開溶媒の移動距離(cm)」です。展開溶媒の移動距離は、上記の操作方法②で決めた4cmですね!(TLC板の底辺からではなく、鉛筆で引いた下線からの移動距離という点に注意。サンプルの移動距離と比較するので、移動距離計算時のスタート位置は鉛筆で引いた下線で揃えます。)そのため、物質Aが3cm進んだときは、「物質AのRf値 = 3cm ÷ 4cm = 0.75」というように計算できます。Rf値がわかると、各物質の移動度を数字として表せる(定量化できる)ので、「この固定相・展開溶媒を使えば、このぐらい移動する」といった目安を把握できます。*展開溶媒を変えると、Rf値も変わります。つまり、カラムクロマトグラフィーで、最適な固定相・溶離液の組み合わせを見つけることができ、どのぐらい溶離液を流せば、物質がカラムから出てくるかもおおよそ計算できます。そのあたりは次回解説していきます。

 

それでは、本日の講義はここまで!

次回は、TLCの情報を基に、カラムクロマトグラフィーの溶離液を決定する方法を解説していきます。また、溶離液をどの程度流せば、分離対象物質がカラムから出てくるかの見積もり方法も解説します。

 

それではまた

ばけぴと