第8-6回.TLC結果をカラムクロマトグラフィーへ応用する
こんにちは。ばけぴとです。
今回は、TLC結果をどのように活かすかを解説します。
TLC結果を見ると、カラムクロマトグラフィーでどのぐらい移動相を流せば、物質が出てくるかを考察できるようになりますので、ぜひマスターしてください。
それでは、いきましょう!
1.TLCから得られる結果(復習)
それでは、まずTLCで得られる情報について、おさらいしましょう(図1参照)。
TLCを行うことで、固定相中の展開溶媒に対する物質の移動度がわかります。
図1では、展開溶媒が4cm進んだときに、物質Aは3cm進むとわかります。
Rf値で表すと、物質AのRf値は0.75となります。これは物質Aの移動度が展開溶媒の0.75倍ということを表しています。
2.TLC結果をカラムクロマトグラフィーへの応用
2-1.移動値で考えた場合
それでは、TLC結果をカラムクロマトグラフィーに応用していきましょう(図2参照)。まずは移動値(cm)で説明します。今回は固定相を8cm積んだカラム管で説明します。TLCもカラムクロマトグラフィーも基本的に、同じクロマトグラフィーです。そのため、カラムクロマトグラフィーの移動相が固定相内を4cm進むと、TLCの結果から物質Aは3cm、物質Bは2cm、物質Cは0cm進むことがわかります。そのため、移動相を12cmぐらい進ませると、物質Aは9cm、物質Bは6cm、物質Cは0cm進みます。固定相は8cmしかないので、物質Aはカラムから出てきますが、物質B、物質Cはカラムに留まっています。つまり物質Aは単離されましたね!このようなイメージで、おおよそ移動相を10~12cmぐらい流すと、物質Aがカラムから出てくると想定できるようになります。また、図1にはありませんが、移動相が16cm進むと、物質Bは8cm進むことも計算できますね。
2-2.Rf値やパスで考えた場合
次に、Rf値で説明します(図3参照)。カラムクロマトグラフィーでは、固定相8cmを1パス(Rf=1)とします。TLCの結果から、物質AはRf=0.75、物質BはRf=0.5、物質CはRf=0とわかっています。つまり移動相が1パス{=1(Rf)×8cm}進むと、物質Aは0.75パス{=0.75(Rf)×1パス}、物質Bは0.5パス{0.5(Rf)×1パス}、物質Cは0パス{=0(Rf)×1パス}進みます。つまりRf値から何パス分進んだかがわかるわけです。そして各物質が1パス進むと、カラムから出てきます。移動相が1.5パス進むと、物質Aは1.125パス(=0.75×1.5パス)進むので、カラムから出てきますが、物質Bは0.75パス(=0.5×1.5パス)、物質Cは0パス(=0×1.5パス)進むので、カラムに留まっています。このようなイメージで分離を想定できるようになります。
3.まとめ
まとめです(図4参照)。今回は、TLC結果から、カラムクロマトグラフィーで、各物質の分離に、移動相を何パス流せば、分離できるかを解説しました。移動値での考え方、パスやRf値による考え方のどちらでもいいので、使いやすい方をマスターしていただければと思います。
次回は、TLCで展開溶媒の極性を変えると、どのように結果が変わるか解説します。
それではまた。
ばけぴと
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