第三回.検量線について化学分析を例に説明します
こんにちは。ばけぴとです。
第三回の分析化学講座は、検量線について化学分析を例に解説します。
今回も図を見ただけでわかるように解説していきます。
それでは、いきましょう!
目次
1. 概要
今回話す内容を図1に示します。
サンプル中に含有する物質Xの濃度を、知る方法を知ることで、検量線の理解を深めていきましょう。
今回は、HPLCという分析機器を使った例で説明します。
HPLCの詳しい説明は別講義で解説します。
HPLCでサンプルを分析すると、横軸が保持時間、縦軸がピーク強度のチャートが得られます。このチャートの見方は、物質が違えば、保持時間(横軸)が異なります。また、物質の濃度が大きいほど、ピーク強度が大きくなります(保持時間は変わりません)。
そのため、混合物サンプルをHPLCで測定すると、チャートには、含有物質の数だけ保持時間の異なるピークが出現します。また、それぞれのピーク強度の比例関係を利用して、各物質の含有濃度を定量することができます。
本講義では、下記①~③の順で、検量線の作成~サンプル中の物質X濃度の定量方法を説明します。
①検量線作成手順
②サンプル測定
③物質Xの含有
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2. ①検量線作成
それでは、まず実際に検量線を作成してみましょう。
図2にその手順を示します。
まず、物質Xの濃度が1%、5%、10%の各々3種の標準液を用意します。
標準液とは既知濃度液のことです。
この物質Xの1%、5%、10%各々3種の標準液をHPLCで測定しましょう。
その結果、物質Xは保持時間4.5秒のところにピークが現れ、
1%標準液は、ピーク強度0.1
5%標準液は、ピーク強度0.5
10%標準液は、ピーク強度1.0
という測定結果を得られました。
次にこれらの情報を基に、検量線を作成します。
検量線のグラフは、横軸を物質Xの濃度(%)、縦軸をピーク強度とします。
(*縦軸はピーク強度、ピーク面積のどちらでもいいのですが、今回は説明しやすいピーク強度で説明します。)
上記の3種の標準液の測定結果から、
横軸1%のとき、縦軸0.1
横軸5%のとき、縦軸0.5
横軸10%のとき、縦軸1.0
の3点をグラフにプロットします。
そしてその3点を通る直線を引くと検量線を作成完了です。
3. ②サンプル測定、③物質Xの濃度定量
次に②サンプルを測定し、③物質Xの濃度を定量します。
サンプルを測定すると、物質Xのピーク(保持時間4.5分)は、強度0.8で得られました。これを①で作成した検量線に当てはめると、縦軸0.8のとき横軸8%なので、サンプル中の物質Xの濃度は8%と定量できました。
4. おまけ
最後おまけです!まず、図4を見てください。
サンプルの定量は、基本的に検量線範囲内で行ってください。
理由としては、検量線範囲外(図4でいうと横軸10%以上)では、検量線が直線関係を維持しているとは限らないからです。
その理由を図5. のおまけ2で説明します。
基本的に分析では、高濃度になるにつれて、サチュレーション(傾きがどんどん低くなる)が起こります。また、低濃度になるにつれて、ばらつきが大きくなります。ダイナミックレンジ範囲内で定量しないと精度を保てなくなります。そのため、検量線範囲内で定量するようにしましょう。
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本日の講義は以上です。
次回は検量線の相関係数について、解説します。
それではごきげんよう!